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08.UnSunGの頭の中[UnSunGコラム]

「伝わる理念」と「伝わらない理念」の違い

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伝わる理念と、伝わらない理念は、どのような違いがあるのだろう。

企業理念、CI、呼び名は幾つかあるけれど、従業員や大衆にわかりやすく言語化されていなければ、企業として抱く想いは伝わらない。

もちろん、商品やサービスに企業としての想いが込められていて、それを利用したひとにしか伝わらない想いもあるかもしれないが、より多くのひとに知ってもらい、体感してもらうための戦略は必要だろうし、実行するうえで軸となる理念は、やはり必要になるだろう。

つまり、企業理念にしろ、個人の理念にしろ、理念は何かをなし得るには必要なものだと考えている。

では、理念は多くの企業、組織、教育組織でも掲げられているが、「伝わる理念」として機能している理念は、どれくらいあるのだろう。
おそらく現状は、「伝わらない理念」にとらわれて溺れているところが大半ではないだろうか。


「欲」をキレイな文章にしただけでは、「伝わる理念」にならない

little girl reading a book on a wharf

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「金を稼ぎたいから、稼げる仕事をどんどん取り入れていく。常に時代の先をいくんだよ」

そう語る経営者も、少なくはない。

現実問題、瞬発的に流行し、瞬間的に売れる商材は存在するし、流行と需要の嗅覚が鋭い経営者は、これらの商材にいち早く目をつけて短期間で利益をあげる。

ブームが終わったら、別の商材の流通に取り組むことを繰り返すのだ。

けれども、こうした経営者のもとに、「給与待遇」以外の理由でどれほどのひとが残っていくだろうか。

「金持ちになりたいから、稼げる仕事をする」という感覚は、経営者だろうが雇われている側だろうがざっくりと心にあるはずだ。

特に雇われている側は雇用されているという不安定さの反面、雇われる自由がある。

経営者に人徳や恩を感じていない限り、同じ勤務形態、事業内容ならば、いまよりも給与が高い企業に転職したいと思うだろう。

経営の雲行きが怪しくなってきたときなど、なおのことだ。

ここで社員一丸となって踏ん張ってほしいところなのに、会社への愛も経営者への親しみの念がなければ、我先にと逃げ出すこと間違いない。

このようなケースが実際に起きたとしても、何の不思議もない。「金持ちになりたいから、稼げる仕事をやる」というのは、理念ではなく「我」や「欲求」を言葉にしただけなのだから。

誰かに想いが届くとすれば「お金を稼ぎたい」という欲の共通項だけだ。

会社のシステムや経営者の考えなど知る由もない。

最悪の場合、自分が勤める会社が未来に何を目指し、何を目的としているのか知ろうともせずに、ひとが次々に入れ替わるだろう。リスクを負ってまで籍を置く理由や意味を見出せないからだ。

世の中には、まだまだ「伝わらない理念」から脱却できていないことに気がついていながら、「伝わる理念」への変化を達成できずにいる企業もある。

なんとなく「伝わらない」と不満を感じていながら、原因がわからない経営者や、「伝わる理念」の作り方を知らない経営者、そもそも経営者の中で「理念」が固まる前に、企業理念として掲げているところもある。

これらは理念としては不完全だが、「伝わらない」と感じていれば、まだ救うことができる。

これから「伝える理念」を考えれば良いのだから。


伝わる「理念」があれば、迷った時の道標になる

伝わる理念に必要なものは、「表現方法」と「明確なメッセージ」だと思っている。

表現方法は、文章化でも、映像化でも、音楽化でも、相手へ最も的確に伝えられる方法であれば、どのような形でもかまわない。

「明確なメッセージ」については、経営哲学があるのか、または言葉にできなくても、端的にでも本当に伝えたいことが見えているかだ。

先ほどの「金持ちになりたいから稼げる仕事をする」というのは、金持ちになったところでどうなりたいのか、社会をどうしたいのか、従業員の待遇をどうしたいのかなどが見えてこないし、あくまでも数ある煩悩を切り取っただけの個人的欲求にすぎない。

ところが、こうした「伝わらない理念」だって、日本人なら日本語で書いてあれば読むことも理解することもできる。

社会経験がない新卒の社員だって、それがうちの企業理念だから読んで覚えてと言われたら、数分で覚える。

けれども、それでは新卒社員も古参社員も、企業が望む行動を自発的にとることない。

せいぜい、言われたからやるにとどまるだろう。

一方で「伝わる理念」は、人を動かす。

経営者自身の経営指針でもあり、正しいもの、正しくないものの判断を迫られたときの、判断基準となる。

「伝わる理念」をここで定義付けるとすれば、「事業の先にどんな価値を見出し、どのように社会に還元できるのか」までを示したものと、「自分たちが情熱を燃やせるもの」のふたつが要であると考えている。

どちらかが欠けてはならない要素だ。

「あなたの理念は何ですか?」と問われたとき、すぐに答えられるひとは少ないかもしれない。

しかし、いますぐ言葉にするのは難しくても、自分の中の譲れない価値観や、生き方、挫折や成功から学んだこと、喜びを感じた瞬間、怒りを感じた瞬間など、あらゆる感情すべてを紐解き、それらをもとに「事業に関わることで満たされるもの、社会に提供できるもの」を見出せれば、理念として言語化することは可能だ。

これらのエッセンスを言い換えるとすれば、「ストーリー」だ。

企業ヒストリーなど、堅苦しいものだけをストーリーとして限定せず、経営者自身の人生や心境変化、経験、社会の流れの変化などからどのような影響を受けて、いまの理念に至ったかなど、実際に体感してきたストーリーをうまく整理して共有することで、「伝わる理念」となる。

実際に「伝わる理念」を掲げている企業は、こうした背景もあわせて伝えているところが多い。

そして、それらが言語化されて理念になる。

企業理念を掲げることは、社会一般的なことであるから、とりあえず作ってみたいという経営者にも出会う。

さらに、「誰が見ても会社が目指すものがわかる指針、軸がほしい。けれど、いま理念を固めるのは怖い。明日になったら、自分お考えが変わるかもしれないから」とも言う。

確かに、日々市場が変動する競争社会の中で、基本的に不変でなければならない理念を固めるのは怖いだろう。

仮に理念として固めていたとしても、企業が目指すもの、導く先が二転三転しては、従業員はたまったものではない。

理念とは、経営者含めた企業全体の動きに迷いを生じさせないための軸なのだからから、この状態のものを、「理念」としてはいけない。

ぶれない軸を見出して形にする自信がないときは、第三者視点のアドバイスが有効だ。

その第三者は、「伝えたいこと」を的確に引き出してくれるひとであれば、部外者でもいい。


理念のイメージを形にするプロに頼る方法

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理念は、つまづいたとき、判断に迷ったときに原点回帰すべきものだ。

「理念に沿えば物事を評価、判断できるもの」でなければならない。

ここまで言うと、ますますハードルの高いものだと感じるかもしれないが、ざっくりといえば、自分の過去から未来までの、想いや思考の線路を言語化したものが理念だ。

なぜこれをやるのか。

なぜこのような未来を目指すのか。

それにより、何を得られるのか。

これらをうまく言葉や形にできないならば、経営感覚が鋭いコピーライターやデザイナーなどに頼るのも手だ。

依頼者と同じ目線で、過去から10年後、20年後の未来を引き出し、共感して判断してくれるひとを、優秀な表現者と呼びたい。

世間的に有名で優秀と評価されるコピーライターや企業だけを、優秀と示すのではない。

いかに依頼者に憑依して言語化できるかが、優秀さの基準だ。

理念の「形」形作りを外部に依頼する際は、クリエイターの所属組織の規模にとらわれず、「クリエイター」の感性やインプット力、表現力をみよう。


理念を形にすることでヒトも企業も変わる

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理念作りをプロに依頼することに、抵抗感を感じるひともいるだろう。

けれども、ビジネスマンにとっては時間も重要だ。

業務に使える時間は限られていて、考える時間、迷う時間をうまく短縮する判断の軸があれば、限られた時間をより有意義に使うことがでる。

最小の行動で最大の成果をあげることができるようになるかもしれない。

なによりも、経営者が「何を、どうするために、何をするのか」を企業理念として明確に表示することで、従業員や社会が共感しやすくなり、自発的な動きも生まれてくる。

何を、どうするために、何をすれば良いか自ずと判断する軸があるのだから、経営者の顔色を伺う時間や、無駄な会議を繰り返す時間も必要もなくなるかもしれない。

「伝わる理念」か、「伝わらない理念」かを判断するポイントは大きくわけてふたつある。

そこに「事業の先にどんな価値を見出し、どのように社会に還元できるのか」が示されているか、「自分たちが情熱を燃やせるもの」が表現されているかを俯瞰で見てみればいい。

もしくは、従業員に直接聞けばいい。

「この会社の理念って何?」と。

たどたどしくても、言葉を選びながらでも、自らの想いに沿うような答えが返って来れば、「伝わる理念」だ。

いまいち腑に落ちない答えであれば、相手も腑に落ちない理念だと感じている。

あなたが掲げる理念が伝わっていないという証拠だ。