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08.UnSunGの頭の中[UnSunGコラム]

社長がプロフの趣味欄に「スポーツ」を記す、5つの理由

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日本に限らず、世界のリーダーたちの趣味といえば、多くがゴルフを連想するのではないだろうか。

なぜ、リーダーたちは貴重な休日を潰してまでゴルフに興じるのか。

ひょっとしたら、1986年から1990年代初頭のバブル経済期の名残かもしれない。高額のゴルフ会員権を持つことがステータスであったことは、容易に想像できる。

バブル崩壊後の現代においても、ゴルフは社交の場として機能している。

クライアントとの親睦を深めるための、いわゆる接待ゴルフだ。

ビジネスの延長として、ゴルフ練習場に通って腕を磨くひとも少なくないはずだ。

ゴルフにこだわらず、身近にいるリーダーたちの趣味を思い出してみてほしい。

彼らはなにかしらのスポーツチームに参加していたり、ジムやマラソンで体を鍛えていないだろうか。

いままで、筆者が知り合ったリーダーたちのほとんどが、継続的に運動をしていた。その種類は様々で、先に述べたゴルフをはじめ、ジムでのトレーニング、ジョギング。さらにはボルダリングやスキューバーダイビングなど、遠出も惜しまないようだった。

もちろん、文化的活動を趣味のベースとしているリーダーもいる。

しかし今回は、リーダーだからスポーツをしているのか、スポーツが得意だからリーダーなのか、この疑問について解きほぐしていきたい。

スポーツで体を動かし、気持ちのオンオフを切り替えて、複雑な経営戦略を構築している可能性は十分にある。

その反面、企業リーダーは経営状況や、リブランディングが思うように改善されなかったときに感じるストレスを、趣味のスポーツでスランプに陥った場合、解消どころか増長させてしまう可能性もある。

スポーツのストレスが負担になる場合、思い切ってやめてしまうだろうが、継続をしているリーダーが多いということは、やはりなんらかのメリットがあるのだろう。

ここは、リーダーとスポーツの間にある、共通の理念を探る価値がありそうだ。

スポーツ経験者、またはスポーツ継続中の、世界的リーダーを参考にしてみよう。

Young Boss

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バラク・オバマ大統領

アメリカのバラク・オバマ大統領は、高額な医療費対策として医療保険制度改革を重要政策として掲げており、二期目在任中の2010年に医療保険改革法案を成立させている。

また、同性婚を支持することを表明しており、2015年の最高裁の判決によりアメリカ全州で同性婚が認められるようになった。

このような、柔軟性に富んだ政治思想が高い支持率を得ているようだ。

そんなオバマ大統領は、演説に「You」、「We」、「Change」を多用しており、国民と政治の垣根を取り払うような言葉を用いることで、アメリカという国家のインナーブランディングに熱心なように思える。もっとも、大国の大統領なのだから当然のことではある。

政治家としての顔についてはニュースや新聞などから伝わって来るので、このあたりで割愛させてもらい、オバマ大統領のプライベートについて調べてみよう。

国家のリーダーである彼も、プライベートではスポーツがお好きなようだ。

かつてはバスケ、ベースボール、ゴルフを好み、現在も早朝にジョギングをすることを日課にしているという。

分刻みのスケージュールをこなしているのだから、オフの時間帯ぐらい、ゆっくりと体を休めればいいじゃないか。運動をするから離れてしまった筆者は、そう思ってしまう。

では、他のリーダーたちはどうだろうか。

Apple社CEO ティム・クック

Appleの創始者、スティーブ・ジョブズ氏亡き後、新たにCEOに就任したティム・クック氏はどうだろうか。

Cook氏は腰が低くて口調は柔らかく、だれに対しても丁寧に対応するという。だが仕事ぶりは非常に熱心で、自身を含む周囲の状況をすべて事細かに把握しており、鋼の精神をもって物事に立ち向かう姿勢をもっている(http://news.mynavi.jp

というクック氏に、温厚で物静かな人物像を描くだろう。

しかし、学生時代は熱心なフットボールプレイヤーだったそうだ。

『VOGUE』編集長 アナ・ウインター

世界のファッショントレンドに絶大な影響力があると言われる、女性ファッション誌『VOGUE』のアナ・ウインター編集長も、ファッションアイコンとしての体型維持のためか、テニスを日課としている。

やはりリーダーは、スポーツから重要なマインドやパフォーマンス性を吸収しているにちがいない。

スポーツを通じてひとは何を得ているのか、スポーツ心理学者の見解を参考にしながら、リーダーに求められているものとの共通項をまとめてみよう。

Young business girl on the phone

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1 明確な目標設定


まず、スポーツをするにあたり、大会で好成績をおさめたい、純粋に技術の向上をさせたい、筋肉量を増やしたいなど、個々の目標が掲げられる。

その目標を達成するためには、自分がなにをすべきかを考えなければならない。

2 プランニング


なにをすべきかを導き出すためには、現状のスペックを把握することとなるだろう。

具体的に弱点と秀でた点をを分析し、目標達成のための戦略を立てるのだ。

この作業は企業経営でも同じだ。目標を設定するために、経営状況や組織の現状を把握する。弱点を克服し、補強するにはなにが必要なのか、蓋をしておきたい面にも目を向けるだろう。

スポーツを通じて、リーダーは目標と実際の力量との差を直感的に感じ取る力を養っているのかもしれない。

3 メンタルコントロール


トレーニングをはじめると、ウィークポイントを知ることになる。イメージではクリアできそうなことが、実際にやってみるとできない。そこで改めて、ウィークポーントを乗り越えるために軌道修正をする。

修正をせずに継続するか、思い切って修正案に則るか、ちいさな葛藤や苛立ちも生まれるだろう。

このときの判断力とタイミングが、効率的なトレーニング結果を得るか、逃すかの差となり、ここでも失敗と挫折を経験する。

このように、スポーツで度々沸き起こる負の感情を認め、冷静になるためには自身の実力を再検証し、問題点を自分自身に提示することになるだろう。そうした行程を繰り返し、精神力も鍛えているのだ。

スポーツをプレイするときに感じるプレッシャーや、目に見える成長を待つ間に感じるストレスは、ちいさな目標を達成するたびに解消され、また次の目標に向かうバネとなる。

忍耐と継続する努力が結果となって跳ね返ってくることは、著名なスポーツ選手たちが口を酸っぱくして述べているが、まったくその通りなのだ。

彼らの言う忍耐と努力は、肉体的トレーニングに耐えることではなく、メンタルトレーニングを指すことが多いだろう。

4 イメージトレーニング


なりたい自分をイメージして、そこに至るまでのトレーニングや自分の姿をイメージするが、前向きなイメージと実際の進捗のギャップに、何度も心が折れそうになるだろう。

しかし積み重なる失敗は貴重なヒントとなり、失敗から回避法を学び、肉体への負荷は必要最低限にとどめ、最大の効果を得ようと軌道修正を繰り返しながら、技術習得していく。

5 リラックス


イメージトレーニングと現状の照らし合わせの段階に至ると、メンタル、肉体面での限界値を見極め、休息を取り入れるリラクゼーションコントロールも、必要不可欠だ。

なにかを成し遂げるには、何事も忍耐と継続が必須だし、肉体を鍛える行程には精神を鍛えなければならない。

だが、忍耐と継続、努力だけに固執すると、必ずストレスがたまる。

適度なストレスを刺激として残す程度に、定期的に身も心もリラックスさせることがツウのスポーツマンだ。

同時に、プランAがだめならば、プランBだというような柔軟性に富んだ思考と決断力を培うことが、リーダーとして成功する秘訣のひとつなのかもしれない。

Happy kids laying on grass with golden goblet

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最後に、チームプレイでは統率力や協調性を求めらえるし、個人プレイではセルフマネジメント能力を求められる。

自己分析をするには冷静な判断力を要するし、スポーツに取り組む際には集中力や予測能力をフルで活かすことになるだろう。

書き連ねてしまえばたいした発見ではないが、世のリーダーたちがスポーツで学んでいることは、リーダーとして大いに役立つ能力の維持、開発になってることだろう。

リーダーたちはきっと、体を鍛えながら精神を磨き、万全な体調を維持することで、仕事においても最高のパフォーマンスを発揮しようとしているのだ。

スポーツが得意だからリーダーになったのでも、リーダーだからスポーツをやっているのではなく、リーダーたちは継続している文化的趣味を含めた活動の中から、リーダーシップに必要なものを吸収して、アウトプットすることに長けているようだ。

言い換えれば、仕事に関係のないようなことから、仕事に必要なスキルとして転換する能力が高いのだ。人生、無駄な時間はないということか。